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2007.02.05 Monday by 藤野 由記
カチャンと音をたてて コードが切れ 電気が消えた 暖かい光を求めて 必死で電源を探す 当てはまる穴がないの 不器用な自分に 愛想をつかしたのは自分自身 胴体部についた傷に 気づけなかったのは たぶん欠陥商品だからでしょう 機械と自分と どちらがより冷たいんだろう 一方的な夢で ただ手を温めていた あの時 泣けばよかった? 笑えばよかった? 怒ればよかった? 感情が役に立たない状況で 生きるには 一方的な夢が必要で それを捨てられない自分は まだ代わりの電流を 見つけられずに 冷たいベッドで闇を抱く 一方的な夢で ただ手を温めていた 廃棄物の中から 小さなランプを探している 儚い寿命の ろうそくの やわらかな色の 炎のために 2007.01.31 Wednesday by 藤野 由記
いつか終わる時 君に会いに行こう 全て終わる日 君のもとへ還ろう 闇が 闇が落ちてくる その日は 君が号泣するから 俺はきっと泣けないだろう 俺は君に寄り添って ただ空を見ているだろう 泣けないのはかなしいことじゃない とるに足らないような 君の涙と 俺の沈黙が ささやかな想いを 時につなぎとめるだろう 2007.01.01 Monday by 藤野 由記
赤黒い道路を 黒い影がよぎって 小さな少女が走り 大人がうつむいて歩いている 電車の窓から 無数の白い点が飛び去っても なお玄関にたどりつかなくて 夢の中のように歩けば 幻のように人とすれ違う 神様 私の帰る場所はどこ? 車の排気音が ネオンサインの間で響いて 懐かしい声で 私はしゃがみこむのをやめた たあいもない笑顔と 馬鹿みたいな一言 ねえ私は単純だから 私は馬鹿だから もう一言言って? 家の扉を開いて? 2006.12.30 Saturday by 藤野 由記
けぶるような雨の中 柔らかな後悔に包まれた 優しい言葉が 宙に舞っている ほの明るい光の中で 君の周りだけ うっすらと虹がかかっているように見えた こんな時だというのに 君の顔はとても綺麗だった 知らなかった 愛しているという言葉が 別れの時に使えるなんて 涙でにじんだ君の顔が くしゃりと歪んだ 2006.12.20 Wednesday by 藤野 由記
さなぎから蝶になるように 目覚めた者が ひとり、またひとり 朝の大気の中へ飛んでいく 僕はどこにもいけない 僕はどこにもいかない このナイフのような冷気は 想いを増やすには冷静すぎる 真珠色の光に 目を細めて意志を問う 2006.12.16 Saturday by 藤野 由記
誰かにこっそり聞いてみた これからどこに行くの? 誰かは首を振って答えなかった 答えのない問いを抱えて 羅針盤も碇もなく 茫漠とした海へさまよい出でる 押し流される流れにのって 自分は自分を見失いそうになる 人にしがみついても 物にしがみついても 輪郭線をとどめるには足りなすぎる 愛は碇になるのだろうか 誰かに問いかけたのだけれど 答えを聞くのは怖すぎた 欲しいのは絶対だった 何があっても不変なもの 安心して身を任せられるもの もう怖いことはないと 誰かにささやかれたらどんなにいいかと 欲しいのは絶対だった 自分は自分を頼れなかったから だけど海に出ると決めたのは自分だから たよりのないこの身で この広い海を泳いでいくしかない 地図を見て 行き先も碇も羅針盤も自分で作って 前略 海の青さを楽しんで見れるようになるには 少し時間がかかりそうです 草々 2006.12.10 Sunday by 藤野 由記
スカートが花のように広がって 冷たい床の上で波打つ 散らばっているぬいぐるみとリボンが きしんだ声をあげるのを聞く 小さな箱を膝に抱いて 私は窓の外を見る 今、私の側には誰もいない 雲ひとつない澄んだ青は 私の目には痛すぎる 生温かい空気を 切り裂くように手をのばす 窓から白い紙飛行機が飛んできて くるりと円を描いて手に納まる 今、私の側には誰もいない 2006.11.29 Wednesday by 藤野 由記
少女の髪に触れる おそるおそる 弱々しい子猫をなでるみたいに 少女は気持ち良さそうに目を細める それは学校 それは放課後 それは夕暮れの教室で わずかに上を向く 少女ののどが白く光って 脳裏に焼きついて離れない |
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